コラムColumn

2006.07.01

食中毒の季節です

食中毒の原因は主に細菌。重症化する前の適切な対症療法が大切です。

一昨年の冬は、ノロウィルスによる食中毒が、集団発生や死亡例を認めたことなどにより世間を騒がせました。しかり食中毒全体で見ますと、やはり梅雨から蒸し暑い夏にかけてが最も注意すべき時期といえるでしょう。

食中毒の原因は、サルモネラ菌・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・病原性大腸菌などの細菌自体や細菌が生成する毒素がほとんどですが、食品がこれらに汚染されていることは、見た目や味、においや賞味期限だけでは分かりません。黄色ブドウ球菌の産成する毒素(エンテロトキシン)の場合、100度30分の加熱でも破壊されませんので、十分火を通せば安全というわけでもありません。

食中毒は、原因によって潜伏期間や細かい症状は異なりますが、腹痛・下痢(通常1日10回以上、血便を伴うこともある)・嘔吐・発熱などが典型的な症状です。原因検索のためには、食事内容や集団内の発生状況を調査し、便検査によって細菌や毒素を検出することが必要となります。

ただ、原因菌にかかわらず必要な治療は、まず対症療法です。特に嘔吐や下痢が著名な場合や高齢者では、容易に脱水状態となり全身状態の悪化につながります。経口摂取が可能であれば、スポーツ飲料や番茶などを極力取るようにしましょう。嘔吐がある場合でも、少量ずつ頻回に飲むことで脱水の振興をある程度防ぐことができます。

軽症の食中毒はそれだけで治ってしまいますし、ウィルス性の食中毒の場合はそれが唯一の治療法となります。下痢止めや抗生物質はかえって症状を遷延させたり悪化させることがありますので、医師の指示に従うようにしましょう。血便や強い腹痛、濃い尿が少量しか出ないなどの脱水症状を認めるようでしたら、早急に医療機関の受診が必要です。

同じ細菌や毒素が体内に入っても、抵抗力が落ちていると重症化しやすいと考えられます。うだるような毎日ですが、体調管理には十分お気を付け下さい。

メディカルサポートシステム・パーソナルドクター
坂崎診療所内科医長 藤田美保子

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